◆承認の種類

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相続が開始した場合、相続人の態度としては、

✅単純承認
✅限定承認
✅相続放棄
の三つがあります。

①単純承認

「単純承認」とは、被相続人の権利・義務(債務)の全部をそのまま承継することです。単純承認とみなされた場合、相続放棄が原則できなくなるので注意する必要があります。

※単純承認したものとみなされる場合

1、相続開始の事実を知って、相続財産の全部又は一部を処分したとき(ただし、保存行為、短期賃貸借は除く。)
2、考慮期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき
3、相続人が限定承認又は放棄をした後でも、相続財産の全部又は一部を隠匿したときや消費したとき(ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りではない)

②限定承認

「限定承認」とは、被相続人の積極財産により被相続人の債務を弁済し、積極財産が残ったときは、その積極財産だけを承継し、債務だけが残ったときはこれを承継しないというものです。(民法922条)
また、ある相続人が限定承認し、別の相続人が単純承認するといった場合には、関係が複雑になるため、限定承認は、共同相続人の全員が共同で行わなければならないとされています。(民法923条)

例えば、被相続人が借金をしていて、相続人にどのくらいの持ち出しがあるかわからないときは、とりあえず、限定承認をしておけば、もし、借金が残された財産より多い場合は持ち出しは0になり、残された財産が多い場合は、それが相続人のものとなる。

残された財産 借金 相続人取分
1000万円 1200万円 0(持ち出しなし)
1000万円 800万円 200万円

③相続の放棄

「相続の放棄」とは、被相続人の権利・義務を一切承継しないことで、相続を放棄した場合には、初めから相続人とならなっかたものとみなされます。(民法923条)

相続放棄は、一般的には相続財産に負債が多い場合になされます。登記等で遺産分割協議による放棄により他の相続人が相続出来ることから、これをもって相続放棄と勘違いされることがあります。しかし、相続放棄とは家庭裁判所に届出ることによってなすもののみを指します。

相続放棄で気をつけなければならないのは、熟慮期間と呼ばれるものです。相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」にしなければならないとされています。

この熟慮期間の起算的は、厳密には被相続人の死亡日とは異なりますが、余裕をもって手続きをするためには、被相続人の死亡日から3ヶ月と考えるくらいでいいかと思います。

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